人が余りすぎて困るというような状況は、どの診療科目にもまだ見られません。
日本の医療業界では、慢性的な医師不足の状態が続いています。
ただ、国も制度の見直しなどを行い、徐々にその状態も解消されつつあると言ってもいいでしょう。
しかし、診療科目ごとに見れば、以前よりもずっと深刻な状態となってしまっているところもあるようです。

医師不足が深刻な産婦人科

その一つが、産婦人科。 他の分野に取り組む医師が増えているにもかかわらず、この診療科目、特に産科の医師の不足は著しく、大きな問題となっています。
このままでは、医師全体の数がいくら増えても、産婦人科医の供給が満たされることはないでしょう。

少子化が進み子供の数が減ってはいますが、それ以上にこの分野で働く医師の数が減っているため、一向に改善が見られません。

これにはもちろん理由があります。
一つは、医療事故が多いこと。出産というのは女性にとって命を削ると言ってもいい行為。
もちろん、無事に出産されるケースの方が多いのですが、だからこそもし事故があれば裁判を起こされたりなどは免れません。
例えそれが医師に原因があるものではなくても、医療訴訟の対象となるケースが他の分野と比べると非常に多いのが現状です。

大学で学んでいる時にはすでにこうしたこともわかっているでしょうから、敢えてその道を進もうと考える医師が増えないのは当然のことでしょう。

また、周産期医療の分野は非常に激務であることも、なかなか医師が増えていかない要因の一つと言われています。
赤ちゃんがいつ産まれてくるかわかりませんし、妊婦さんがいつ急変するかもわかりません。
当直は当たり前、時には何十時間と連続で患者さんに対応しなければならないため、それを敬遠してこの分野には足を踏み入れない、あるいは現場から離れてしまう医師も少なくないのです。

不足要因の1つに女性医師本人の出産・子育てでの離職

現在、女性の産婦人科医が増えています。
女性で医師を目指す人は、何としてもこの分野に貢献したいという強い意志を持っていることも多く、他の診療科目と比べても女性の割合が多い点が特徴的です。

しかし、これが医師不足の要因になっているのも事実。
医師本人が妊娠や出産、子育てのために離職する、そんなケースが後を絶たないのです。
もちろん、出産や子育てのために一度現場を離れることには何の問題もないのですが、その後、全員が復職するわけではありません。

止むを得ないことではありますが、女性医師の割合が多いことで医師の供給が足りなくなる現状、この点と向き合いながら対策を講じていく必要性は否定できないでしょう。

安易に飛び込める分野・領域ではないものの、転職時にこの診療科目を選択すれば、社会貢献、少子化問題、周産期医療の発展、そしてキャリア構築と、あらゆる点に寄与できるのかもしれません。